日本舞踊の魅力、醍醐味を高度な芸で体現する名手たち。ここでは、映像が現存する代表作をご紹介します。
個性豊かな藝をお楽しみください。

藤間 ( ふじま ) 友章 ( ともあき )

卓抜した技芸によって古典舞踊の継承に努めるとともに、創作活動にも実績を残した。振付作品も多数。また家元藤間流の大師匠として後進の指導、育成にも尽くした。代表作に清元「幻椀久まぼろしわんきゅうなど。

  • 1909年生~1996年没
  • 1915年初代中村又五郎なかむらまたごろうに入門
  • 1928年藤間伊勢ふじまいせに師事
  • 1948年藤間伊勢の養子となり、藤間友章を名乗る
  • 1989年日本芸術院会員

清元「幻椀久まぼろしわんきゅう

吾妻 ( あづま ) 徳穂 ( とくほ ) (吾妻流四代目家元・二世宗家)

吾妻流の中興の祖として古典舞踊と創作舞踊で独自の芸風を確立し、女性日本舞踊家の評価を高めた。歌舞伎に先駆け1954年より「アヅマカブキ」として欧米数十都市で公演を行うなど日本舞踊を世界に知らしめた。代表作に長唄「時雨西行しぐれさいぎょう長唄「きく義太夫「藤戸ふじとうらなど。

  • 1909年生~1998年没
  • 1933年吾妻流を再興、吾妻春枝あづまはるえと名乗り、家元となる
  • 1942年吾妻徳穂と改名
  • 1978年孫の吾妻徳彌あづまとくやに家元を譲り、二世宗家を名乗る
  • 1986年日本芸術院会員
  • 1991年文化功労者

清元「北州ほくしゅう義太夫「赤猪子あかいこ

藤間 ( ふじま ) 藤子 ( ふじこ )

卓越した技術と高度な表現力で独自の芸風を確立し、日本舞踊界を代表する舞踊家の一人として多大な足跡を残した。歌舞伎舞踊や新作舞踊の振付にも力量を発揮、多くの振付作品が今日まで受け継がれている。代表作に常磐津「景清かげきよ東明流「都鳥みやこどりなど。

  • 1907年生~1998年没
  • 1914年藤間勘八ふじまかんぱちの養女となる
  • 1917年二世家元藤間勘右衞門ふじまかんえもんに入門。
  • 1926年三世家元藤間勘右衞門の名取となり、藤間藤子を名乗る。
  • 1985年重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
  • 1987年日本芸術院会員

長唄「まつおきな東明流「都鳥みやこどり常磐津「景清かげきよ

吉村 ( よしむら ) 雄輝 ( ゆうき )

優美かつ繊細な表現を極めた独自の舞台で、戦後の上方舞を代表する舞踊家として活躍、古典の継承に加えて創作でも名作を生みだした。東京でも上方舞研究会を催すなど、吉村流の名を全国的に広めた。代表作に一中節「都若衆万歳みやこわかしゅうまんざい創作舞踊「こうのとり義太夫「宗右衛門町そうえもんちょうなど。

  • 1923年生~1998年没
  • 1928年二世家元吉村ゆうに入門、のち三世家元吉村雄光よしむらゆうこうの内弟子となる
  • 1939年吉村雄輝を名乗る
  • 1961年吉村流四世家元を襲名
  • 1986年重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
  • 1997年文化功労者

地歌「つな

井上 ( いのうえ ) 八千代 ( やちよ ) (京舞井上流四世家元)

井上流に伝わる古曲の伝承、復活のほか新作の振付にも意欲的に取り組む一方、後進の育成にも力を注いだ。京舞の舞踊会を初めて東京で開催するなど、京舞の評価を全国的に高めた。代表作に義太夫「関寺小町せきでらこまち、地唄むし一中節「尾上おのえ雲賎機帯くもしずはたおびなど。

  • 1905年生 ~ 2004年没
  • 1908年三世井上八千代に入門
  • 1919年井上流名取となり井上愛子いのうえあいこを名乗る
  • 1947年四世井上八千代を襲名
  • 1955年重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
  • 1957年日本芸術院会員
  • 1990年文化勲章受章
  • 2000年孫である井上いのうえ三千子みちこに五世家元を譲り、井上愛子に戻る

義太夫・上方唄「信乃しのつぼみ八房やつふさ~」

花柳 ( はなやぎ ) 壽楽 ( じゅらく ) (二世)

花柳流の伝統を守り古典を継承する一方で、古典の技法を活かしながらモダンな感覚で創作舞踊に取り組んだ。古典舞踊、創作舞踊ともに優れた技量と洗練された芸術性を発揮した。代表作に長唄「日追ひおいみち長唄「釣狐つりぎつねなど。

  • 1918年生~2007年没
  • 1932年義兄である二代目花柳壽輔はなやぎじゅすけに入門
  • 1948年花柳錦之輔はなやぎきんのすけを名乗る
  • 1965年花柳寿楽はなやぎじゅらくを名乗る
  • 1992年重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
  • 2003年日本芸術院会員

長唄「土蜘つちぐも長唄「おうぎてら常磐津「釣女つりおんな

花柳 ( はなやぎ ) 壽輔 ( じゅすけ ) (花柳流三世宗家家元花柳はなやぎ壽輔じゅすけ)

大輪の花のような存在感と華のある舞台で、古典舞踊のみならず創作舞踊においても観る者を魅了する舞踊家として活躍。また花柳流の伝承曲の継承に力を注ぐとともに流儀の全国的な普及、後進の育成にも多大な功績を果たした。

  • 1935年生~2007年没
  • 1963年花柳流三世家元花柳壽輔を襲名
  • 1970年三代目宗家家元となる
  • 2007年四代目花柳壽輔を襲名
  • 1999年日本芸術員会員

長唄・清元「鎌倉山かまくらやま長唄「土蜘つちぐも(胡蝶こちょう)」長唄・義太夫「ゆき吉野山よしのやま一中節「松風まつかぜ長唄「夢殿ゆめどのほか

花柳 ( はなやぎ ) 寿南海 ( としなみ )

「花柳寿南海とおどりを研究する会」を主宰し古典作品を多角的に研究するとともに、古典舞踊の手法を土台に絵画や小説を題材にした創作作品も多数発表し高い評価を受けた。代表作に新作邦楽「吾輩わがはいねこである」長唄「洛中洛外らくちゅうらくがい湯女群像ゆなぐんぞうなど。

  • 1924年生~2018年没
  • 1932年花柳寿京はなやぎじゅきょう花柳寿陽はなやぎじゅように入門
  • 1942年花柳寿南海を名乗る。
  • 1946年二代目花柳壽輔はなやぎじゅすけに師事
  • 2004年重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
  • 2005年文化功労者

新作邦楽「吾輩わがはいねこである清元「折紙おりがみ

花柳 ( はなやぎ ) 壽應 ( じゅおう ) (花柳流四世宗家家元 花柳はなやぎ壽輔じゅすけ・二代目花柳壽應)

戦後を代表する日本舞踊家として、テレビや舞台の出演、また宝塚歌劇団や歌舞伎をはじめとするさまざま公演の振付、演出を務めた。古典舞踊の継承を重んじながらも精力的に創作活動を行い、振付作品は 1 万を超える。流派を超えて若手舞踊家の育成にも力を注いだ。
代表作に長唄「黒塚くろづか長唄「茨木いばらきみみなし芳一ほういち大和楽「ゆきみち長唄「二人椀久ににんわんきゅう清元「保名やすななど。

  • 1931年生~2020年没
  • 1937年伯父である二代目花柳壽輔に師事
  • 1967年五代目花柳はなやぎ芳次郎よしじろうを襲名
  • 2007年四代目花柳壽輔を襲名
  • 2011年日本芸術院会員
  • 2016年二代目花柳壽應を襲名

清元「幻椀久まぼろしわんきゅう大和楽「ゆきみち長唄「鏡獅子かがみじし長唄「茨木いばらき牧神ぼくしん午後ごご